メディアの役割はあくまでも情報の提供であり、その報道内容の評価、さらには具体的な行動に移すことができるかどうかは、私たち自身の責任であると考えます。
さらに言えば、「当事者」とは同番組で名前の上がっていた市町村の関係者に限りません。大なり小なり、どの市町村でも同様の課題に直面する可能性があるからです。
この騒ぎのきっかけとなった「財政健全化法」そのものについては、いわゆる「線引き」基準に関して様々な意見があると思いますが、発想としては単なる「連結決算」です。
以前から、「隠れ債務」に関しては、主要な雑誌で特集記事が組まれるなどメディア等でも話題になっていましたから、従前から連結ベースでの財政健全化が求められていたことを改めて思い起こすべきでしょう。
したがって、財政健全化法が施行され、自治体経営がさらに厳しくなったなどというエクスキューズは基本的に住民の方には納得のいくものではないと考えています。
さて、本綱のタイトルでもある自治体再建に向けた具体的なステップについて考えてみましょう。
重要なことは、プランニングと実行とは切り離して考えるべきである、ということです。
この点について、日産自動車の再建を成し遂げたカルロスゴーン氏は、「計画1割、実行9割」ということを述べています。どんなに素晴らしい計画も実行されなければ意味がないということです。
「実行」が難しいことは、多くの人が「肌感覚」で知っているはずです。
企業の再生事例では、あらゆるステークホルダーが計画の必要性やメリットについて十分に理解し、危機感を共有することが、最も重要なステップであると考えられています。そして、このファーストステップを軽視した場合、改革が成功する可能性は極めて低いものとなります。
これを自治体の事例に当てはめた場合、住民を巻き込んだ議論が十分になされなければなりません。そのために必要なことは、「悪い情報を隠さない」ということに尽きるでしょう。
犯人探しが必要ということではありません。何が現状の問題を引き起こしたのかという点について明らかにされなければ、改革の必要性を納得してもらうことも、有効な打ち手を検討することもできないからです。最悪の場合、責任の擦り付けあいに終始してしまうでしょう。
自治体再生には様々な手法が考えられますが、まず必要なことは、単なる数字合わせでも、住民に頭を下げることでもありません。
今、まさに自治体の将来を考えるための、「真の」第一歩を踏み出すことが求められているのです。