Publiciva : Ideas !では、PFI、指定管理者制度、市場化テストといったPPP関連のほか、医療・福祉、NPOなど、パブリックセクター、非営利分野に関連する情報を幅広く提供してまいります。
先日、認知症をテーマとした報道番組を見ました。同番組では、認知症の妻の介護をしている、あるご夫婦を紹介していましたが、見ていて、とても切ない気持ちになってしまいました。
認知症に限らず、介護の多くは「在宅」で行われていますが、在宅介護によるご家族の負担は想像を絶するものがあります。

この「在宅」の流れは、介護だけなく、医療の世界でも主流になりつつあります。
例えば、リハビリテーションや緩和ケアなど、かつては病院を中心としたケアであったものが、急速に「在宅復帰」を前提としたケアにシフトしつつあります。

この一方で、在宅復帰に当たって、住宅改修や家族の役割変更などさまざまな「現実的な」障害が存在することも事実です。また、在宅復帰後の患者さんやご家族に対する継続的なケアにとって、かかりつけ医によるアセスメントやケアマネジメントを中心とした総合的なサポートが重要になることはいうまでもないでしょう。

しかしながら、現在の医療・介護保険制度では、システムの面でもマンパワーの面でも十分なケアが受けられないのが実情です。

退院後の受け皿となる「在宅」での療養環境が整っていないにもかかわらず、医療の世界では、在院日数の短縮が急激なスピードで進んでいます。この結果、医療・介護双方で大変な混乱が生じています。このことは、医療連携が進めば進むほど、在宅復帰という「出口」での混乱がさらに加速することを意味しています。

パブリシヴァは、現状で、もっとも適切な受け皿は「ケア付き有料老人ホーム」であると考えております。しかし、経済的にもこうした施設を利用できる人はごく少数でしょう。グループホームももちろん有力な選択肢ではありますが、量的な側面からも、医療的なケアという側面からも十分とはいえません。

リハビリテーションの分野では、「地域リハビリテーション」という概念の下、かかりつけ医や医療・福祉に関わる職員、あるいは施設等が、「地域ぐるみ」で患者さんやご家族をサポートしていこうという動きが活性化しつつあります。

医療・福祉資源の量的な不足については、中長期的に解決していかざるを得ません。その一方で、当面の地域におけるニーズ応えていくためには、現状の、「施設」、「職種」、「制度」によって縦割りになってしまっている「人材」のネットワークを統合し、「既存の資源」を有効に活用していかなければなりません。

こうした取組は、政府や地方自治体だけでなく、地元医師会やその他の団体が協力して初めて実現するものです。そのためには、誰がリーダーシップを発揮するのかということを明確にする必要があります。

こうした一方で、ビジネスベースでも、医療・福祉の問題解決に貢献していかなければならないと考えています。前述したケア付き有料老人ホームを例に取れば、現状のいわば「富裕層」を対象とした永住型の「不動産投資」という形態ではなく、誰にでも利用可能な「サービス」の提供という形態に移行する必要があります。例えば、ショートステイ型、ロングステイ型、永住型など、ニーズや経済力に応じた多彩なオプションを提案することが一つの目標になるでしょう。もちろん、このオプションの一つとして海外でのケアということも視野に入ってくるものと考えています。

不足するマンパワーの解決策として考えられている移民の問題や海外移住、さらには前述した地域リハビリテーションなど、どれが正解でどれが不正解であるということではなく、選択の幅を広げていくことが今後のヘルスケアにとって重要な要素であると考えています。

パブリシヴァでは、こうした観点から、今後も、行政サイド、ビジネスサイド、いずれの側面からもご提案をしていきたいと考えております。

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松浦 年洋(まつうら としひろ)
パブリシヴァ マネージングディレクター
立教大学社会学部卒。1969年生まれ。豪州ボンド大学MBA(在籍中)
1993年船橋市役所入所。総務部職員課にて公益法人派遣制度の導入等に従事した後に厚生労働省(医政局指導課)出向。厚生労働省では、主に医療法人制度の見直しを始めとする医業経営改革に従事し、病院PFI、医療機関債の創設、病院会計準則の見直し等を経験。船橋市役所復帰後は、人事評価制度の見直し、お客様の声データベースの構築等を経て、船橋市が平成20年開院を目指し整備を進めている「船橋市立リハビリテーション病院」の運営企画業務を担当。平成19年4月より企画部企画調整課 副主査。

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